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団塊の世代が75歳を迎えるのが2025年。まさしく超高齢化社会となるニッポン。
待ったなしの状況となってきています。家族・仕事・地域・お金など様々な切り口で介護に
向き合うインタビュー特集をポータルサイト「Excite」の介護家族支援マッチング
サービスファミリーサポーターと一緒に7回に渡って実施していきます。

第三回

「他人事ではない! 家族を取り巻く“介護トラブル”とは」

弁護士 外岡 潤

NPO法人アラジン 理事長 牧野史子氏

日本初の介護トラブル解決専門法律事務所「おかげさま」代表弁護士。
ホームヘルパー二級。
財団法人介護労働安定センター雇用管理コンサルタント。
平成24年6月より、一般社団法人介護トラブル調整センター代表理事。
介護トラブルの裁判外解決(ADR)活動を推進している。

「施設で転んでけがをした」「家族・親戚の間で介護方針が合わず、関係がギスギスしてしまった」など、施設や在宅を問わず、介護にまつわるトラブルは少なくありません。
今回は施設や家庭など介護をする上で起こり得るトラブルを中心に、“日本初の介護トラブル解決専門法律事務所”弁護士の外岡潤さんにお話をお聞きしました。

・増え続ける、施設内の転倒による訴訟トラブル

――介護にまつわるトラブルにおいて、もっとも多い相談はどのようなものでしょうか。

施設内でのトラブル(介護裁判)において争われるのは、その大半が利用者の「転倒」と「誤嚥(ごえん)」などの事故です。虐待など特殊なケースは別ですが、100%予測することが難しい転倒の場合などは、事故が起きても8割強は施設と家族の話し合いで解決することが多いようです。しかし、中には高額な賠償金が発生する事例や、施設と家族で揉めに揉めて長期的な裁判へともつれ込んでしまう例も少なくありません。
実際に、職員によるトイレ内への同行介護を拒否し、その後トイレ内で転倒。骨折や後遺障害に至った」としておよそ1253万円の賠償金(3割の過失相殺)が認容されています。また平成15年の東京地裁の判例では、「デイケアでの送迎バスを降りた直後に利用者が転倒し、骨折・肺炎を発症してしまい4か月後に死亡した」として、約686万円(6割の過失相殺)が認容されたことも。高齢化社会で利用者が急増する中で、こうした施設内での転倒によるトラブルも年々増え続けています。

――施設内で転倒などの事故が起きた場合、明確な賠償額などの基準などはあるのでしょうか。

それがまったく存在しないのが、今の介護業界の抱える問題の一つです。
転倒して利用者がケガをした場合でもまだ明確な基準がなく、現在は交通事故の賠償基準を同列視して、そのまま介護業界にも適用しているのが現実です。しかし高齢者の場合は、一つのケガでもさらに認知症が進んでしまったり、その後の生活を一変させてしまう事態にもなりかねません。明確な基準がないがゆえに、「施設側は介護のプロなんだから、どんな事故でも防げて当然」と主張する一部の家族や、「防ぎようがない事故なのに、その後の余生すべての責任を押し付けられても……」という施設側の両者の意見が混在し、問題がより深刻化してしまうのです。

――施設内でのトラブルの場合、現場と家族側の間で事故に対しての見解や認識が食い違うことが多いような気がするのですが……

表面上は事故に関する内容で揉めていても、実は普段から利用者と施設間の連携が上手くとれていなかったり、“根本的な相互不信”からくるトラブルがとても多いようです。この手のトラブルは「いかに謝罪や説明など事後対応をできるか」という点で大きく結果が変わってきます。例えば、「申し訳なく思っているが、どこまで自分たちに責任があるのか分からない」と、施設側から十分な説明がないまま時間が過ぎてしまうと、家族側はそれを「不誠実な対応」と受け取って余計に攻撃的になってしまう。
もちろん明確な補償の基準がないのもより混乱を招く要因の一つですが、私は介護業界ではどちらが正しいかを極端に追求したり、勝ち負けを争うことには意味がないと思っています。相談に来るご家族に話を聞いても、家族が求めているのは実は事故“後”の施設側の誠意のある対応であり、金銭や勝ち負けが目的という例はほとんどありません。ようするに根本は感情の問題ですよね。もちろんトラブルには様々な状況や環境など違いがあるので一概には言えませんが、根本的な連携や解決を目指さなければ“裁判”という表面的な争いは途絶えることはないと思います。

・家族トラブルの背景にあるものとは

――施設内で転倒など事故トラブルが起きる一方で、やはり家族の間でも介護にまつわる揉め事やいざこざはどうしても起こりがちですよね。

そうですね。介護は正解がない世界なので、関わる人数が多ければ多いほど方針の違いや「じぶんの思い通りに介護をしたい」と、兄弟でいがみあったり、互いのポリシーがぶつかって揉めてしまうケースも多いようです。
また、家族の誰かが極端に負担を背負ってしまい、「ある日突然、要介護の母親の多額の年金や貯金を一気に引き出して介護放棄してしまった」という例も実際に起きています。他にも年金を使いこんだりなど家族による“経済的虐待”の相談も受けますが、一度家族の連携が崩壊してしまうと、徹底して連絡を取らなくなったり、相続問題の前哨戦ともいわんばかりに互いに弁護士を立てていがみ合うなど、骨肉の争いになることもあります。
中には兄弟なのに介護問題で仲がこじれてしまい、親の葬式にも呼ばないという悲惨な例も実際に起きています。

――どこまでも本音でぶつかれる家族だからこそ、余計に激化してしまうというか。

もちろん遺産の相続トラブルなどもありますが、額に関係なく「自分はこれだけ負担した! 」など、1円単位で揉めてしまう例もあるんです。もはや金銭の損得などではなく、感情やプライドのぶつかり合いですよね。負担になるのが嫌で親の介護を押し付け合う例もあれば、「お前ばかり母親のそばにいるなんて!」と、介護をめぐって当事者を奪い合ってしまうことも。さらに、介護はそれまでの家族の関係性なども露骨に出るので、「子どもの頃からいつもお前は……」「昔から我慢をしていた」など、遠い昔の確執や遺恨も噴出してさらに泥沼化してしまうことも少なくありません。

・介護トラブルの根本は“心の問題”

――施設や在宅など介護にまつわるトラブルですが、結局はお金などの損得よりも、見守る側の“会話(連携やコミュニケーション)”が足りないことも一つの理由になっている気がしますが……

そうですね。施設と家族のトラブル、そして家族間のトラブルの背景にあるものを突き詰めると共通して“心の問題”に繋がります。その根本には「あのとき心無い一言を言われた」「冷たい態度をとられた」といった、実は素朴でシンプルな思いが潜んでいることがすごく多いんです。家族間でもみんなが介護に追われて心に余裕を持てないからこそ、双方の思い遣りが欠落してしまったり。そうなると互いの信用もなくなり、過去の確執がより全面に出てしまい、さらに揉める・関係が悪くなるという悪循環へと陥っているような気がします。
私自身、『ヘルプマン! 』(くさか里樹著・講談社)という介護業界を描いた漫画に感銘を受けて飛び込んだ世界ですが、介護に本当に必要なものは勝ち負けではなく、「平和的解決」であり「トラブルを未然に防ぐ予防」なのかなと……。施設と家族の関係性、または家族内などいずれも普段からコミュニケーションや連携をとり、対話による平和的解決を目指す。感情のもつれをときほぐすことで法律トラブルに至ってしまう前に、争いを回避したい。そんな願いを胸に、日々トラブルと向き合っています。

Exciteファミリーサポーターとは… 「Exciteファミリーサポーター」 は介護保険外での自費でのサービスが依頼できるとても心強い味方です。介護保険ではできないサービスや、相談など、様々な得意分野を持った人たちにお願いし、問題を解決することができます。 例えば… ● デイサービス終了と家に帰れる間の2時間だけ見守りをしてほしい ● 食事を一緒に食べてくれて話し相手になってもらいたい ● 仕事のスケジュールに合わせた介護をしたい などなど、あなたが必要な時に必要な時間だけサポートできる人がそろっています!

青山ゆずこ自画像
青山ゆずこ 1985年7月28日茨城県生まれ。「体験型」介護ジャーナリスト/フリーライター/漫画家

扶桑社・週刊SPA!をはじめ、女性向け月刊誌などで社会・時事問題、サブカルにアングラなど記者活動を行いつつ、漫画を執筆。
2011年2月から『夫婦揃って認知症』の祖父母と同居。
介護経験ゼロの素人ながらも“認知症”と“在宅介護”にガチンコで向き合う。
泣いて怒って笑い転げる、刺激的かつ怒涛の日々を、実体験W認知症介護マンガとしてウェブサイトで連載中!

『孫娘のガチンコ介護』介護のポータルサイト・オアシスナビ
介護日記をブログでも配信中。

「第4回 家族の「介護」が「虐待」に変わるその瞬間」
はこちら!

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