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団塊の世代が75歳を迎えるのが2025年。まさしく超高齢化社会となるニッポン。
待ったなしの状況となってきています。家族・仕事・地域・お金など様々な切り口で介護に
向き合うインタビュー特集をポータルサイト「Excite」の介護家族支援マッチング
サービスファミリーサポーターと一緒に7回に渡って実施していきます。

第四回

「家族の「介護」が「虐待」に変わるその瞬間」

NPO法人となりのかいご  代表理事 川内 潤

NPO法人となりのかいご  代表理事 川内潤氏

NPO法人となりのかいご  代表理事
老人ホーム紹介事業、外資系コンサル会社、在宅・施設介護職員を経て、市民団体「となりのかいご」設立。となりのかいごをNPO法人化し、代表理事に就任。誰もが自然に家族の介護に向かうことが出来る社会の実現を目指す。

最近は介護施設の職員による利用者への虐待が大きく報道されていますが、家族や親族など養護者(介護する側の家族)による虐待も毎年多くの件数が報告されています。厚生労働省が発表した2013年度の養護者による虐待の相談・通報件数は延べ2万5千件。そのうちおよそ1万5千件強が虐待と判断されました。
なぜ、本来なら守るべきはずの家族が手をあげてしまうのか――。今回は、高齢者の虐待防止支援をはじめ、仕事と介護の両立支援に取り組むNPO法人「となりのかいご」代表の川内潤さんに“悲しい介護”についてお話をお聞きします。

・真夏に水も食事も与えず放置…… 凄惨な家庭内虐待の現場

――家族による虐待は、具体的にどのようなケースが多いのでしょうか

虐待と一言でいっても、精神的に苦痛を与える“心理的虐待”や、年金や貯金を使いこむ“経済的虐待”など様々ですが、私がこれまで現場で多く目撃してきたのは暴力行為で相手の体に傷やアザなどをつける“身体的虐待”、そして必要な介護やサービスを利用させない“放棄・放任”などの虐待です。
例えば、ほぼ寝たきり状態の80代の女性を家族が部屋に閉じ込め、一週間服も取り換えずに鍵をかけて閉じ込めていたというケースもあります。トイレの介助もせずにそのまま垂れ流しの状態で、一週間ぶりに訪問したとき部屋はものすごい臭いが漂っていました。ほかにも真夏なのに水や食事を与えず放置してしまったり、頭にひどいたんこぶができていたり……。入浴介助の際、体に思い切り叩かれた赤黒い手の跡が残っている方もいらっしゃいました。
このような家族による虐待は近所の方やその地域を巡回する民生委員の方々、また介護保険内外の訪問サービスのスタッフによって発覚することが多いのですが、常習的な虐待まで至るケースは「外との繋がりを持たない」「閉ざされた空間で家族だけの“見えない介護”をしている」という方に多い傾向があります。

――あまりにも虐待がひどい場合はどのような対応が取られるのですか?

まず市町村が設置している地域包括支援センターなどで状況確認をし、その後の対策を検討します。生命の危機など緊急性が高い場合は、一時措置として特別養護老人ホームや病院などで要介護者を保護をしたり、家族と要介護者を引き離す(分離)という措置が取られることもあります。

・「思わず手をあげてしまう」 虐待する家族の根本の原因とは

――本来ならば“守るべき存在”であるはずの家族が、一体どうして虐待へと走ってしまうのでしょうか

相手(要介護者)を「本当に憎くて傷つけてやろう」と思って手をあげている方はほとんどいません。反対に介護に一生懸命に取り組むがあまり、必要以上に一人で頑張り過ぎてしまう真面目で責任感の強い方ばかりです。とくに在宅介護などで一日中付きっきりで介護をしたり、「人に迷惑をかけたくない」「自分で何とかしなくては」とすべてを背負い込んでしまう方は要注意。虐待に至ってしまうケースの多くが、その地域の介護者が集まる会や保険内外のサービスをあまり利用せず、“要介護者と自分”という1対1の極端に狭く閉鎖的な空間で起きています。
例えば訪問介護サービスを受けても凝り固まった“マイ介護ルール”があるので、スタッフの利用者に対する髪のとかし方や、洋服の脱がせ方一つをとってもやり方に納得できなかったり、全部自分でやらないと気が済まない方が多いですね。それが余計に自分の心の余裕を奪い、終わりの見えない介護の中で蓄積した疲労が何かをきっかけに爆発し、思わず手をあげてしまうという“家族による虐待”に繋がってしまう。結果的に相手も自分も深く傷付くという悲しい結末を招いてしまうのです。
介護とは終わりが見えないものです。だからこそ気が付かないうちにすべてを背負い込んでいると、ある日何かをきっかけに蓄積された不満やストレスが突然「虐待」という形で噴出し、結果的に相手も自分も深く傷付くという悲しい結末を招いてしまうのです。

――自己犠牲の上で成り立つ介護は、ときに危険性もはらんでいると。

そうです。そして家族による虐待の現場でとくに多いのが“実の息子による母親の虐待”です。その件数は虐待のおよそ6割以上を占めています。男性にとって母親は特別な存在で、子どもの頃から絶対的な“自分の味方”です。その存在が目の前で老いて崩れていく。
「なんとか昔の元気な姿に戻って欲しいから」と、きっちり目標を決めて相手を管理しようとしても、その思いとは裏腹に相手はなかなか言うことを聞いてくれず、自分のことすら分からなくなってしまう……。理想と現実のギャップを直視できず、行場のない思いが虐待という形で表れてしまうのかも知れません。さらにそれまで会社勤めをされていた方は、女性に比べて地域や第三者とのコミュニケーションも希薄な場合も多いです。それが余計に「介護の愚痴を言いたくても誰にも言えない」「自分は耐えるしかない」と、逃げ道のない閉鎖的な介護空間を生み出してしまいます。

・適度に力を抜き、ときには他人に頼ることも必要

――「頑張り過ぎるがあまり、手をあげてしまう」
介護する側にとっては、決して他人事ではありませんね。

そうですね。そして気を付けたいのは、「介護=自分の人生」になってはいけないということ。介護のために仕事を辞めたり、一日中付きっきりで相手と向き合うことだけが正しい介護ではないはずです。適度な距離を保ち、ときには周りの家族や親族、第三者のサービスに頼ってみる。介護保険内の訪問介護などの支援サービスでは要介護者に対するものしか適応されないことが多いですが、保険外なら家族の食事や掃除に洗濯など、家族の支えとなって負担を減らしてくれるものも数多く存在します。上手くサービスを利用すれば、自分の自由な時間も作ることができる。それは“手抜き”ではなく、在宅介護にとって“必要不可欠な時間”です。
家族は完璧人間でもないし、万能な介護職員でもありません。時間がかかっても、“頑張りすぎない介護”を心掛けてください。

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青山ゆずこ自画像
青山ゆずこ 1985年7月28日茨城県生まれ。「体験型」介護ジャーナリスト/フリーライター/漫画家

扶桑社・週刊SPA!をはじめ、女性向け月刊誌などで社会・時事問題、サブカルにアングラなど記者活動を行いつつ、漫画を執筆。
2011年2月から『夫婦揃って認知症』の祖父母と同居。
介護経験ゼロの素人ながらも“認知症”と“在宅介護”にガチンコで向き合う。
泣いて怒って笑い転げる、刺激的かつ怒涛の日々を、実体験W認知症介護マンガとしてウェブサイトで連載中!

『孫娘のガチンコ介護』介護のポータルサイト・オアシスナビ
介護日記をブログでも配信中。

「第5回 家族の介護をする立場から、介護支援へ」
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