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【エンタメ・カルチャー】連載記事

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日野火雅利のファッションコラム おしゃれのススメ Vol.2

ニットの歴史は靴下からはじまった

「靴下を編む妻を見守るウイリアム・リー牧師(右)、A.エルモア筆、ノッチンガム博物館蔵」

こんにちは。クリエーティブ・ディレクターの日野火雅利です。まだまだ寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。2月は暦の上では立春。梅の花が咲き出し、節分では豆まき、2月14日はバレンタインデー、海外ではグラミー賞、アカデミー賞、ベルリン国際映画祭など春を感じるイベントの季節となりました。

また、今年の干支は、未(ひつじ)ですね。羊といえばウール。ということで、スウェーターが今回のファッション・テーマです。そして、ウールではないですが獣毛の最高品種といわれる「カシミヤ」。シニア世代が大好きなカシミヤ山羊のスウェーターと世界最良の羊の「メリノ種」を取り上げたいと思います。

まずはニットの歴史・ルーツからひも解いてみることにいたしましょう。

子供用縞柄靴下(エジプト・アンチーノで発見。レスター美術博物館蔵)

編物の原理のはじまりは、有史以前の時代にさかのぼります。その基本は漁網をつくる技術で、これはほぼすべての原始人がもっていました。考古学的には紀元前1世紀頃と推定されるエジプトの古墳やバイキングの墓(8~10世紀の北欧)から発掘された「スプラング」という織物とも編物ともつかないものが、編物のはじめということが定説になっています。しかし、はっきりとした本格的な手編みの技術を完成させたのは、アラビアの遊牧民族でした。彼らはすでに紀元前2~3世紀ころ、立派な靴下をつくっており、この技術がエジプトからスペイン、ヨーロッパ各地へと順に広がっていったといわれています。

13世紀になると「編物による靴下」がイタリアでつくられるようになり、15~16世紀にかけてヨーロッパ各地で、手編みによる靴下製造のギルドが現れてきます。

1589年、ケンブリッジのセント・ジョーンズ・カレッジのウイリアム・リーという牧師が、手動靴下編機を発明しました。彼は、妻が手編みで靴下をつくっている様を見て考え、苦心のすえいわゆるハンドフレームと称する、手織機のように手と足を使って動かす編機を完成させました。これが現代的な編機の最初の登場であり、この機械は、ほとんど原型のままで約200年もの間使われてきました。

ウイリアム・リー氏の発明した機械は、現在のひげ針を使ったものでしたが、その後1858年に、やはり英国人のマシュー・タウンゼントという人が、ベラ針を発明し、メリヤスの能率は飛躍的に良くなりました。

さらに1863年には、ウイリアム・コットンという英国人が、生地を縫製するのと同じような方法で編むことができる垂直可動針式編機を完成させました。これは現在のフルファッション編機の原型となるもので、いまもコットン編機としてその名が残っています。

日本に編機が入ってきたのは、いわゆる南蛮人の渡来以後のことで、これはメリヤスという言葉の語源がポルトガル語のメイアシュ【Meias】、あるいはスペイン語のメジアス【Meisias】といわれることからもうかがえます。(古くは和製漢語『莫大小』と書いて「大小なし」、つまり伸縮自在な生地を意味しました)

これらの外国語はいずれも『靴下』という意味で、英語のホジリー(Hosiery:メリヤスと同意語)がホーズ(Hose=靴下)からきていることを考えても、ニットの歴史は靴下からはじまったことがわかります。

羊毛『ウール』ってどんな種類があるの・・・・?

<メリノ>
最も代表的な羊。毛は細く、ソフトな感じのする織物に使われる。
<カシミヤ>
いわゆる羊ではない。カシミヤ山羊の毛で、蒙古中国奥地の寒冷地で産するものがもっとも良質とされている。カシミヤ特有の軽さと、毛艶と滑らかな感触は、高級オーバー類、ショール、スウェーターとして賞玩されている。

羊毛(Sheep Wool)は、緬羊(めんよう=羊)から刈り取った毛で、略してウールとも呼びます。緬羊には、最も代表的なメリノ種、イギリス種(イギリスの伝統的な牧羊技術によって作り上げられてきた純血種で、他国に類を見ない多くの種類があります。「チェビオット」は英国品種中最も古く、半野生の多色羊で特有の柔軟さと暖かみのある「シェットランド」ウールなどが有名)、雑種(コリデール種などで日本にも生息)、本改良種(アジアの遊牧民によるカーペット等に使われる毛質が荒いもの)があり、それらは3000余種もあるといわれています。

そのほかのスウェーターに使われるものでは、今回登場する獣毛(ヘヤー)の一種「カシミヤ」は、本来ヒマラヤ地方(中国、モンゴル、インド北部)原産のカシミヤ山羊の毛のことをいいます。そのほかに「モヘヤ」(トルコ原産のアンゴラやぎの毛)、「らくだ毛」(アジアに産する双峰らくだの毛)、「アルパカ毛」(南米ペルーの山地に住む一種のやぎの毛)、「ビキュナ毛」(南米アンデス山脈の高地に住むビキュナの毛)、「アンゴラ兎の毛」などがありこれらは太くてかたい性質をもっています。

このようにもともと半野生で原産地があったかつての毛質のウールは、現在では交配改良によりいろいろな地方で飼育と大量生産されているので、本来希少価値のある原産と使われているネーミングは若干の違いがあることは何とも複雑な気がします。

優しいカシミヤで大人の上品な着こなしを演出

では、私がお勧めする「カシミヤ」のスウェーターの着こなしをご紹介いたしましょう。スウェーターの原型から考えると、まずはVネック、クルーネック、カーディガン、それにポロカラーの4種類は持っていたいものです。今年はぜひ、ペールトーンやパステルカラーなどで優しいカラーリングを挑戦してみたいと思います。ライトグレー、ピンク、イエロー、ベージュ等の色合いがお勧めです。高級カシミヤ素材の柔らかく弾力のある優しさとノーブルなムードがもたらす雰囲気をカラーとのバランスで楽しみましょう。

イエロー、ライトグレー、ベージュ、ピンクなどのペールトーンやパステルカラーのカシミヤ・スウェーターが春を感じさせてくれます。

着こなしは全体を優しい色気にまとめると大人の上品な着こなしをさりげなく醸し出してくれます。パンツはベージュやオフホワイト、ジーンズもライトブルーなどを使って柔らかさを出してください。

まだまだ寒い時期ですが、優しい色でまとめると何となく暖かいイメージとなり、また梅春にふさわしい春の薫りを感じさせてくれること請け合いです。

少し暖かいときにはスウェーターを肩から羽織って色のポイントとしてスポーティーにコーディネートもできますし、夕方の肌寒いときにはインナーとして着れば温度調整にも重宝します。

コーディネーション編

ミラノリブのニットジャケットにはリバティ・プリントのシャツ(花柄のプリント・シャツは今年のお勧め!)とオフホワイトのジーンズでライトなコーディネート。肩からはパステルイエローのクルー・スウェーターを羽織って優しくまとめます。
ピンクのカーディガンにはギンガムチェック(パープル系)のB.D.シャツとドットのアスコットタイを合わせます。ボトムのパンツはインディゴブルーで色を閉めてフレンチ・シックにまとめます。
クルーネックのパステルイエローのスウェーターには今年のお勧めリバティ・プリントのシャツを。ボトムは少し落ち着いたライトグレーのウールパンツで正統派な着こなしを演出。
ケーブル柄がおしゃれなベージュ系ニットポロのインナーにはペーズリーと花柄のミックスされたパープル系シャツで60年代な感覚にまとめます。パンツはナチュラル系チノクロスのパンツでクールにまとめましょう。
ライト・グレーのVネックスウェーターにはピンクのストライプシャツで優しくまとめます。パンツはオフホワイトのジーンズで軽快にコーディネート。

最良品質のメリノウールで若々しい着こなし

お次は世界最良のウール「メリノ種」のご紹介です。

もともと12世紀の後半、スペインで完成された羊の一種で、その毛は繊細で白く、長さは均一で太さもそろい、一定の細かいウエーブをもった最優良種とされています。語源は、牧場から牧場へ放浪するという意味のスペイン語Merinoから、あるいはラテン語のMajor(マヨール)から出たともいわれています。1760年以後、欧米各地に広まり、多くの品種を生み出しました。代表的にはスペインメリノを原型とした、サキソニーメリノ(ドイツ)、ランブイエメリノ(フランス)、バーモントメリノ(北アメリカ)、南アフリカメリノ、豪州(ボタニー)メリノなどがあり、中でも豪州メリノは最も優秀で、世界のメリノ羊毛の4分の3を生産しています。

このメリノウールのスウェーターはとても糸が細くやわらかいので、ジャケットの下に着てもかさばらず、なおかつ編目が詰まっているで、風を通さず、空気は外に逃がしてくれるので、大変重宝する素材といえます。

お勧めのコーディネートでは、スーツの下に刺し色として合わせ、ネクタイを締めているのを巷ではよく見かけるようになりました。Vネックのメリノスウェーターなら少しカジュアルシックで、きれいなカラーを合わせることで若々しさを醸し出してくれます。

メリノウールはカラーリングも豊富なアイテムですので、なるべく色は原色を選んで遊び心を採り入れると着こなしが楽しくなりますね。今回はオレンジとライトブルー、そしてパープルをチョイス。グレーなどの落ち着いたスーツに原色の刺し色をインナーに合わせることで、とても若々しくアレンジすることができます。カシミヤのスウェーターとはまた違った大人のコーディネートを演出できる最良のアイテムといえます。

さて、今回の特集は如何だったでしょうか?

メリノウールやカシミヤのスウェーターは、定番のアイテムとしても、脇役としてもとても重宝するアイテムです。

ファッションは気持ちを高揚させてくれるものですから、いつもと違った着こなしをいろいろと挑戦してみましょう。

春のすがすがしい新緑のかおりが恋しくなるこの季節。先取り感覚でスウェーターのカラー・コーディネートを素敵に楽しみたいですね。

日野火雅利のファッションコラム[ファッションイベントレポートとおススメコーディネート提案]

日野火雅利

日野火雅利 Kagari Hino

クリエイティブ・ディレクター

大学在学中よりFASHIONに特化したコマーシャル制作のスタイリングやファッション雑誌の仕事に従事。10年間編集プロダクション入社後、制作のプロとして企画から営業までのファッションのみならず、すべてのジャンルに関わる。なかなか経験のできない海外でのさまざまな取材、撮影のディレクションもこなし、ITではファッションサイトの立ち上げや、Men’s Fashion誌、Men’sブランドのクリエーティブ・ディレクション等企画からスタイリング、原稿制作など新規ビジネスの立ち上げも多く、営業開拓からはじまり既存顧客へのビジュアルマーケティング、広報企画などもアイデアを踏まえて提案。近年では富裕層向けに高級消費財作家・芸術家、レストラン等の企画取材のディレクション、雑誌制作の編集責任者として活躍後、現在FASHIONを中心に企画編集・制作等クリエーティブ・ディレクターとして活動中。

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